8月8日~18日に、六本木の国立新美術館で開催された
第52回現代書作家協会展です。
全体的な出品数は去年とほぼ同じでしたが、小中学生や中国からの
出品者が増えて、今後がとても楽しみです。
今回は特別企画がなかった分、会場が広々と使用できたみたいで、
例年より、とても見やすかったと思います。
今回は顔真卿の祭姪文稿を、全紙2分の1に全臨しました。
ここ数年、続けて楷書で出品してきましたが、楷書はある意味
「完成された美」であり、古典の典型として、誰でも美しいと
感じられるでしょう。
しかし、ここから創作作品に展開、応用していくとなると、
なかなか難しいものがあります。
そのように考えると、祭姪文稿は肉筆の原稿ですから、繊細に書かれて
いる箇所があるかと思えば、極端にいびつな文字があったり、
感情を抑えている箇所と発散している箇所が混在したりと、
応用範囲が広い古典だと思い、今回選びました。
今年初めの「顔真卿展」で祭姪文稿の本物を見たという感動を、
いち早く表現したいという思いもありました。
それから、マス目に一字一字きれいにはめこんでいく、整然とした
楷書をずっと臨書していた反動か、逆に今は形の崩れたもの、
アンバランスなものに非常に魅力を感じます。
そういうコンセプトで取り組んだものの、実際出来上がった作品は
顔真卿の情感を再現できたとは言い難く、見るに堪えません。
ただ、どうしてもここで、今までの自分を壊したかった、
壊さないと先へ進めない気がしてなりませんでした。
「他の人がやってないことをやる、ありそうでないものを作る。」
という自分自身のコンセプトは守りつつ、常にチャレンジ精神を
持って、前に進んでいきたいです。
…と言いながら、飽きっぽい性格なので、来年はまた気持ちが
変わっているかもしれません…。
今回、社中から公募一科2名、中学生部5名の方が入賞されました。
皆さん、本当におめでとうございました。