先日、上野の東京国立博物館平成館で開催されている顔真卿展を
鑑賞しました。
祭姪文稿が日本初公開ということで、顔真卿の大ファンの自分は
開催前から楽しみにしていました。
できるだけ混雑する時間を避けたいと思い、
土曜日の19時半頃、会場に行きましたが、
それでも祭姪文稿を見るのに60分待ちの看板が出ていました…。
まあ、仕方ない…と思いながら、会場内の列に並びましたが、
順調に列が流れて、結局20分ほどで見ることができました。
しかし、移動しながらの鑑賞でしたので、時間にして約20秒、
細部をじっくり見ることはできませんでした…。
それでも、祭姪文稿の本物を間近で見られて感動でした。
書き出しは平静ですが、徐々に感情が高ぶり、行はうねり、
所々訂正の箇所が生々しく、実際に書かれた字は静止しているのに、
あたかも動いているような躍動感が、ひしひしと伝わってきました。
顔季明の非業の死に対する悲しみと憤りの中で書かれた祭姪文稿は、
同じく草稿である王羲之の蘭亭序とは、あまりにも対照的です。
もし、祭姪文稿と蘭亭序の本物のどちらか一つだけもらえる、
と言われたら、迷わず祭姪文稿を選びます。
その他の顔真卿の代表作の多宝塔碑や顔氏家廟碑などの拓本、
懷素の自叙帖、九成宮醴泉銘、孔子廟堂碑、雁塔聖教序などの
唐時代の代表的な拓本が鑑賞できて、本当に良かったです。
十分な時間的余裕を持って、鑑賞できなかったのが心残りですが、
あとは購入した図録を自宅でじっくり見ることにします。
今回得られた感動を、そのうち何らかの形で作品にしたいですね。