1月12日~17日に上野の東京都美術館で開催された
第48回現代臨書展です。
今年は顔真卿の楷書作品の多宝塔碑を、紺紙に金泥墨で全臨しました。
多宝塔碑は、長安の千福寺に舎利塔を建立した経緯を
顔真卿が書いた碑です。
肉厚でたくましい書風は、九成宮とはまた違った味わいがあり、
蚕頭燕尾などの顔法は抑えめです。
去年の九成宮は銀泥墨で書いたので、今年の作品は金泥墨で書こうと
決めていました。
金泥で書くのに相応しい古典は何かな…と色々模索していたんですが、
中国の多宝塔碑の法帖を見ると、字が金色っぽく出ていたので、
これだ!と思いました。
以前購入した純金墨を磨って書き、その後で猪牙で磨き上げましたが、
墨を磨るのも磨き上げるのもなかなか大変でしたね。
フラッシュをたいて写真を撮ると、字が光り輝きますよ。
全臨で二千字近くあるため、一気に書き上げるのは到底無理なので、
時間の合間をぬっては、毎日少しずつコツコツと書き上げました。
字数が多い作品はそんなに何枚も書けないので、誤字脱字がないよう、
また、顔真卿の力強い書きっぷりを少しでも再現できるよう、
一字一字、全身全霊を注いで書かなければなりませんでした。
そのため、一枚書き上げるのに、およそ一か月半ほどかかり、
体重も3キロほどやせました…。
合計二枚書いたので、自然に6キロ近くダイエットできたんですが、
周りからは具合が悪いんじゃないかと心配されるほどでした…。
ここ数年、楷書の古典を臨書して出品しています。
「書は楷書に始まり楷書に終わる」という言葉があるように、
楷書は追求すればするほど、奥深いものを感じざるを得ません。
この度は、全日本書道連盟賞と奨励賞の二つの素晴らしい賞を
頂くことができ、感謝と喜びの気持ちでいっぱいです。
通知が来た時は大変驚きました。
これを励みにし、これからも日々精進してまいります。
本当にありがとうございました。