楽屋でひたすら・・・

待ち時間があまりにも長いので、東宝スタジオ内の楽屋に案内されました。
入った瞬間、ここに一般人のこんな僕がいていいのかと思うくらい、
また、僕が一人では使うにはもったいないくらい綺麗で広かったです。
それで、次の出番までかなり時間があるため、助監督と相談して、待ち時間を有効に使うため、
撮影に必要な部分のノートをひたすら書き始めました。
途中、12時頃に昼食が用意されているので食べないか?、と助監督に言われましたが、
もともと朝ご飯を遅く食べて、ランチを食べない一日二食の食生活が定着していたので、
丁重にお断りして食べずに、そのまま書き続けました。
その時はシャーペンが走っていたので、乗りに乗っていたんでしょうね。

三回目の撮影は長丁場

三回目の撮影は、二回目の撮影の翌日に東宝スタジオ内で行われました。
この日は朝10時半にスタジオに到着するやいなや、すぐに着替えて撮影に入りました。
「演技とは?」と書くシーンの撮影でしたが、2~3テイクくらいでOKが出ました。
自分としては少し納得が行かなかったので、もう一回ぐらい書きたかったんですが、
監督がOKしてくださったから、まあいいか・・・と思いました。
このシーンの撮影は15分くらいで終わったんですが、次の僕の出番までは、早くても午後3時半くらいだと
言われました。
その間待ってなければならないんですが、一旦家に戻って来るのも面倒だし、どうしよう・・・、と思ってたら、
スタッフの方が楽屋みたいな所へ案内してくださったので、そこで待機することになりましたよ。

映画で使われたノート

映画で使われたノートは、大手文房具店や東急ハンズなどで、ごく普通に買えるツバメノートです。
個人的にも使用していたノートですが、とても書きやすいノートですね。
ノートの大きさは色々ありますが、果たして映画で使われていたノートのサイズはどれか?
・・・なんて考えながら、文房具屋さんに立ち寄ってみてください。
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単語の配置と×印と二重丸

二回目の撮影は「必要なもの」を書き込むシーンでした。
本番前にメイクさんに爪の検査を受けたところ、墨が爪についていたので、しっかり洗い流しました。
それから香川照之さんが着ていた衣装に着替えて、撮影に入りました。
「必要なもの」として、色々な単語が何気なく書き込んであるように見えますが、
これも監督が単語の配置とかに結構こだわっていて、何回か書き直しました。
このシーンでは、必要なものを全体的に大きく×印して、最後に「お金」と書き、二重丸で囲みますが、
この×印の位置も監督のこだわりがあって、「×印の線と、お金を囲む二重丸が重ならないように。」
との指示がありました。
重なってしまうと、お金も否定してしまうことになるからだそうです。
僕は最初のテイクでは「お金」を○でグルっと囲み、一旦シャーペンを浮かせて、
それから改めて外側を○でグルっと囲みました。
お金に○印を二重につけるようなつもりで・・・。
そうしたら助監督から「二重丸はそう書かずに、一筆書きでつなげて、グルグルっと囲んでください。」
との指示がありましたので、そのように書いてOKが出ました。
本番ではノートの横に灰皿が置いてあり、その上の煙草に火がついてあったので、
煙草を吸わない僕としては、結構煙たかったです。
でも、この日は慌てて来た割には、僕の撮影は早く終わりましたよ。

タクシーに乗って撮影スタジオへ

最初の撮影から一週間後に二回目の撮影があり、東宝スタジオ内で行われました。
当日は午前中に書道教室の授業がありましたが、「13時過ぎにスタジオに来てください」ということでしたので、授業が終わって、駅構内の立ち食いそばを急いで食べ、すぐに電車に飛び乗りました。
成城学園前には12時40分頃到着しましたが、到着するやいなや、助監督から電話があり、
「今どこですか?撮影が予定よりも早く進んでいるので、タクシーに乗ってスタジオ内まで来てください。」
とのこと!
スタッフの皆さんが僕が来るのを待っているというじゃないですか。
これは早く行かないと迷惑がかかると思い、急いでタクシーを拾おうとしましたが、
こんな時に限って、タクシーがなかなか来ないんですよね・・・。
10分後にようやくタクシーに乗れて、なんとか間に合いましたよ。
でも、タクシーに乗ったまま、撮影スタジオの前まで行くなんて、これから先も経験できないことでしょうね。

「焼き鳥」?「焼鳥」?

予め頂いていたノートの原稿には「焼鳥」と書いてあったので、僕は本番でもその通りに「焼鳥」と書いたんですが、監督が「「焼鳥」は真ん中に「き」が入ってたっけ?入らなかったっけ?」と言われました。
それで周りのスタッフが「き」が入る、と言ったので、最初のテイクはNGになり、
書いた「焼鳥」を消しゴムで消して、「焼き鳥」と書き直すことになりました。
書き直したら、今度は僕の右手の親指の爪が長い、とまたまたNGになったので、
メイクさんに爪をプチプチ切られました。
ギターを弾くのも趣味なので、親指の爪を少し伸ばしていたのが災いしましたね。
爪を切ってから、書き直して無事に撮影終了し、助監督と僕と二人残って、
今後のノートの書き込みのスケジュールの打ち合わせをしました。
全部終わったら、もう夜11時を回っていましたが、スタッフに配られた夜食の「天むす」を頂きましたよ。

焼き鳥の文字は乱れて・・・

はじめての撮影はノートに「焼き鳥」と書き込むシーンでした。
本番直前に助監督から、
「ノートをテーブルに置かずに、左手の掌にノートを乗せて、右手で書き込んでください。」
と言われてびっくり!
直前に言われたので、その姿勢で書き込む練習をしているはずもなく、
掌にノートを乗せているだけなので、ノートが安定せずぐらぐら動き、書きにくいのったらありゃしません。
内田監督にも「文字が乱れてもいいから、あわてて書き込んだようにお願いします。」と言われました。
そういった理由で、実際のシーンでは「焼き鳥」が他の文字よりかなり乱れましたが、コンドウがあわてて
書き込むシーンなので、あれはあれでよかったのでしょうね。

衣装が小さい・・・。

撮影現場到着から約2時間半ぐらい経って、ついに僕の出番が来ました。
撮影衣装に着替えるのですが、吹き替え専用の衣装などないので、
すべて香川照之さんが着ていた衣装を、そのまま僕が着ました。。
僕は175センチですが、実物の香川さんはテレビで拝見するより小さかった・・・。
なので、僕が衣装を着ると、当然ピチピチ、ギューギューで、きつかったです・・・。
それを心配してか、本番前に内田けんじ監督が直々お茶を入れてくださいました。

最初の撮影現場で・・・

最初の撮影現場は銀座のレストラン(カフェかな?)でした。
仕事を終えて、夜7時半頃、撮影現場に到着しました。
その時にはじめて香川照之さんと広末涼子さんとも挨拶しましたが、やはりテレビで拝見するのとは違い、
お二方ともオーラがすごく出ていましたよ!
僕は横で撮影を見学しながら、出番が来るのを待っていました。
ちょうど僕が座っていた場所が窓ガラスに反射して映り、カメラに入ってしまうと言われたので、
あわてて移動しようとしたら、助監督に、
「レストランに座っているお客さんという設定で、そのまま座ってて大丈夫です。」と言われました。
コンドウと香苗がカウンターに並んで座って、塩について語るシーンの後ろの窓際に座ってましたが、
映画でそのシーンを確認したところ、僕の座っていた位置がぼやけていて、
自分の姿は全くと言っていいほど映ってませんでした。
ほっとしたというべきか、残念だったというべきか・・・。

現場撮影は全部で4日

僕が実際に現場での撮影に参加させていただいたのは、全部で4日でした。
スタジオで2日、ロケが2日で、当初の予定では5日でしたが、1日短縮になりました。
勿論、映画の撮影現場を見るのは今回がはじめてでしたが、やはり独特の雰囲気がありますね。
映画の試写会で完成版を見た時に、「あ、映画ってストーリーの順番通りに撮影しないんだ。」と、
妙に納得しました。