映画のポスターの人体図

映画のポスター、特に香川照之さんの右横に出ている人体図も僕が描いたものです。
これは、岩城社長の殺害ノートとして書いたものの一部分で、堺雅人さん演じる桜井がコンドウの部屋で、
ノートをパラパラ見るシーンが出ていますが、その中にあります。
劇中ではこのページは映っていませんが、ポスターを見た時は、まさかこの部分がポスターのバックになるとは思ってもいませんでした。
この人体図の部分は原稿では「空けておいてください。後でスタッフが描きます。」と、指示が出ていましたが、
僕は昔から漫画を描いたりして、絵も得意だったので、「人体図も自分が描きます!」といいました。
そしたら助監督がメールで人体図のイラストを送ってくださり、それを参考にして描きました。
この殺害ノートはシャーペンではなく、すべてボールペンで書いたものです。

あくまでも・・・

ノートに書く時は、ペン字のお手本を書くようにではなく、あくまでも几帳面な性格の人が書いた、というのを
意識しました。
書体も行書は達筆すぎるということで、できるだけくずさずに楷書で、という指示がありました。
結構難しかったのが、ノートの1ページに「部屋にあるもの」を書く部分でした。
これも、行頭や字の大きさをそろえ過ぎずに、あくまでもメモ書きした雰囲気を出す、という指示がありましたので。
映画で確認したところ、メモ書きの雰囲気は出ていたと思いますよ。

線はフリーハンド、消しゴム使用原則不可

ノートに書き写す前には、助監督とノートの原稿のチェックをしました。
仕方のないことですが、いくら数人のスタッフで手分けして書いても、量が多いので誤字・脱字が所々出てきますし、漢字の表記や送り仮名とかも、書く人によってまちまちでしたので、統一しなければなりませんでした。
香川照之さんが演じる「コンドウ」は几帳面な性格なので、そういう部分もきちんと書かれてなければならないとのことでした。
ただ、線を引く時は定規を使わず、すべてフリーハンドで、という指示がありました。
あと、持ち物に消しゴムがない設定でしたので、できるだけ消しゴムを使わずに書かなければならず、
どうしても間違えてしまった時は、跡が残らないように、きれいに消さなければなりませんでした。
書道でも筆で書く時は、失敗したら消しゴムで消すわけにはいかないので、細心の注意を払って書くことは
慣れていましたが、それでも何か所かは、やむを得ず消しゴムを使いましたよ。

危うく腱鞘炎に・・・

助監督との打ち合わせの時に、映画のあらすじを説明していただきました。
口頭で説明を聞いただけでは、いまいちピンと来ない部分もあったんですが・・。
結局、僕自身の撮影が終わるまで、僕は映画の台本は頂いてないし、
台本の中身を見る機会も一切ありませんでした。
でも、ノートを書いていくうちに、「ああ、なるほど」と、映画の内容について、わかっていきましたよ。
ノートは撮影日に合わせて別々に使用するので、最初にノート5冊頂き、
それぞれ、いつまでに何ページまで書く、という指定があったので、結構大変でした。
あと、撮影のNG用に同じページを何枚も書いておかなければなりませんでした。
僕は書くのは大好きなので、ハードでありながらも楽しんで書いてましたが、
書くのが嫌いな方には絶対に無理な仕事でしょうね。
夢中になって書きすぎた日は、書いてる途中で手がぶるぶる震えてきて、
「あ、これは腱鞘炎!」と思い、即座に手を休めましたよ。

「鍵泥棒のメソッド」ついに本日公開!

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「鍵泥棒のメソッド」が本日公開されたので、新宿で見てきました。
僕は今年の3月に、スタッフ関係者のみの試写会で既に見たので、今回が2回目でした。
やはり、自分が書いた字がスクリーンに映るというのは恥ずかしくもありましたが、
これから一生の思い出になるでしょう。
パンフレッドも今日ゲットしましたが、これを見てると、撮影の時や、
自分が懸命にノートに書いてた時を思い出しましたよ。

ノートの原稿も手書き

スタッフの方と打ち合わせした後日、助監督がノートと原稿を、僕の家の近くまでわざわざ持って来てくださいました。
原稿はパソコンで打ったものではなく、完全な手書きで、何人かのスタッフの方が手分けして書いたそうです。
それを見て、僕が一人で書き写していくのですが、予めノート一冊を書き上げるのではなく、
撮影のスケジュールに合わせて書いていかなければなりませんでした。

シャーペンの芯の濃さと下敷き

打ち合わせの時に、シャーペンの芯の濃さをどうするか、という話しになりました。
既に色々な濃さの芯が用意されていましたが、とりあえずHB、B、2Bと、順番に入れ替えて実際に書き比べました。
その結果、HBはやや薄すぎ、2Bはやや濃いということで、最終的に芯の濃さは「B」に決まりました。
それから、僕が普通ノートに書き込む時は、必ず下敷きを使っていたので、監督にも、
「下敷きは使った方がよろしいんでしょうか?」と尋ねました。
下敷きを使わない場合、書き進めていくうちに、書いた字の跡が筆圧で裏に写りますが、
それがかえって味がある、ということになって、「下敷きは使わないで書く」ということになりました。

東宝スタジオでの打ち合わせ

スタッフの方達と、最初に打ち合わせしたのは成城学園にある東宝スタジオ内でした。
内田けんじ監督をはじめ、スタッフの方達に挨拶をした時は、やはり緊張しましたね。
それから早速、助監督からノートとシャーペンを手渡されて、原稿の冒頭の部分を見ながら、ノートに書き写してくれと言われたので、スタッフの皆さんが見ている中、書き始めました。
半ページほど書いて、「字のぴんぴん尖った感じをなくしてほしい。」と言われたので、気をつけてもう一度書き直したところ、監督が文句なしとおっしゃったので、内心ほっとしました。
ちなみに内田監督は、韓国料理のような辛い食べ物が大好きだそうですよ。

泥棒のメソッド(仮)

代筆役を正式依頼されて、電話でスタッフと初めての打ち合わせの日時を決めている時に、
助監督に「あ、洪さん、何キロですか?」と聞かれました。
「175センチ、70キロの普通の体格ですよ。」と答えたら、助監督は安心されたようでした。
やはり、書くシーンで手が映るので、お相撲さんのような体格だとダメなんでしょうね。
それから、ファックスで映画の企画書を頂いてましたが、
その時のタイトルは、泥棒のメソッド(仮)で、「鍵」はまだついてませんでしたよ。