臨書 ~ 孫過庭 書譜(之旨余無取…)


日本書道学会、12月号半紙臨書課題の書譜の一節です。

今回の課題は書譜の最後の方に出てきますが、最初の「之」が
なかなか思うように書けませんでした。

王羲之の蘭亭序には「之」が20回出てきますが、一つとして
同じように書かれていないことは良く知られています。
この書譜も同じ文字が幾つか出てきますが、一つたりとも
同じ表情のものはありません。

これは、起筆の筆遣いがそれぞれ違うので、その後の形も表情も
全然変わってくるのでしょう。
このようなバリエーションの変化を無意識のうちに出来た孫過庭は、
やはり偉大であり、書譜が後世に残る名筆になったのも納得できます。

臨書でエネルギーとして吸収したものを創作で活かして、独自の
作品を作っていきますが、作品制作の途中で壁にぶち当たった時は、
再び古典に戻ることにより、新たなヒントを得ることができます。

この繰り返しによって、表現力が高まることになりますが、
いつも古典を謙虚に見直す気持ちは大切だと思います。


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