臨書 ~ 太宗 晋祠銘(故知靈岳標奇…)


日本書道学会、10月号条幅臨書課題の晋祠銘の一節です。

唐の第二代皇帝であった太宗は、王羲之の書を愛し、この晋祠銘や
温泉銘などを王羲之風の行書で書いています。

王羲之を基盤としながらも、気宇壮大、ゆったりとした
雰囲気を出すには、運筆を決して急がず、
蔵鋒と露鋒を巧みに使い分けるといった、
筆先を使うテクニックが必要不可欠です。

また、「威」「成」などの字の第一画目の縦画は、
下図のように、あまりにも外側に広がるように引いてしまうと、
字の上に重りを載せた場合、支えきれずに、
字が潰れてしまうような感じになってしまいます。
第一画目をやや垂直気味に引くことにより、
上に重りを載せてもがっしりと支えて、字形の安定感が増します。

アヒルの水に浮く姿に似ていることから「浮鵞」と呼ばれる
曲がりの書き方も同様です。
終筆部分が平らでは、重りを載せると下にどんどん下がってしまう
ような印象を与えてしまいます。
終筆部分を少し上向きにすることにより、しっかり支えられ、
落ち着きを感じることができます。


このことは楷書のみならず、行草体を書く時にも大切です。
いかに基本が大事かということを再認識させられました。

 


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