臨書 ~ 褚遂良 伊闕仏龕碑(十號而御六天…)


日本書道学会7月号の臨書条幅課題の伊闕仏龕碑の一節です。
 
伊闕仏龕碑は龍門石窟の賓陽洞の外壁に刻されていて、
現存する褚遂良の作品の中で、最も古いものです。
文字の構えが大きいながらも、すっきりと伸びやかな細めの線で、
所々に隷書の筆勢も見られます。

ちょうど欧陽詢の「九成宮醴泉銘」と虞世南の「孔子廟堂碑」を
足して二で割ったような雰囲気ですが、風化による摩滅が激しいため、
どのような線質で表現するかが最大のポイントです。

羊毛のような柔らかい筆だと、「鄭羲下碑」のような雰囲気になって
しまい、自分が考えていた線とは違ったので、筆も色々試しました。

結果的に今回は、小学生や初心者の方に「おすすめ」と書かれた硬めの
筆が、風雨に晒され変化した線を出すのにしっくりきました。

建碑当時の雰囲気を想像しての臨書、風化を意識した臨書、
どちらも良いと思いますが、拓本を見て、どちらで臨書するのかを
自分自身で見極めることが、非常に大切だと思います。


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